酪農家の出身「藤井蔵吉」さん。
イタリア・ボローニャでのジェラート修行を経て、現在では山口県内に1店舗を出店。
また、全国の百貨店や東京スカイツリー等への出品もしている。
瀬戸内のおだやかな空気で育った乳牛ミルクを使い、自然で優しいのに濃厚な牧場ジェラート。
生産者から製造の道へ
―ジェラテリアクラキチのこれまで
会社自体の創業は2017年です。
もともと実家が周南市で牧場を経営していました。大正11年に高祖父が開業したと聞いています。ですので子供のころから牧場の手伝いをしながら育ってきましたね。
幼少期は現周南市で過ごし、広島県の高校を卒業してからは、北海道の大学時で生殖細胞の研究をしていました。もともと実験というものが大好きでしたので、液体を固形にするというアイスクリーム製造は通ずるものがあったのかもしれません。
ー山口県に戻るきっかけ
大学は北海道、そして、カナダ・イタリア留学と当時は、外に出ることばかり考えていました。そんなときに、このままでは生涯にわたって「自分自身に何かを残せるか」と考えるようになりました。
東京などの都会で何かをやっても、結局、自分のルーツには戻れないなと気づき、そのルーツからスタートしたいと考えました。そこで、自分のルーツであり故郷である山口県に戻って家族と一緒に牧場の運営に携わるようになりました。
ソフトクリーム店から挑戦を続ける
―ソフトクリーム店の営業がはじまる
2014年に周南市の道の駅のソフトクリーム店を家族とスタートさせました。牧場運営の中で新鮮なミルクがありましたし、北海道やイタリア留学での経験があったので、その知識と技術を活かせたらと考え店舗運営に携わりました。
順調に店舗の運営が進む中ではありましたが、あるときに、店舗運営による自分の価値を感じることが薄いなと感じるようになりました。人を集めるのは道の駅だし、自分のお店にどんな価値があるのかということです。
そして、このままだと自分の能力を伸ばすことなく年を重ねることになると思い、人生の中で、挑戦する必要性を持つようになりました。そんな思いがあって、現在の会社設立につながっています。
会社設立と同時に周南市の商店街にジェラート店をオープンさせました。スタートアップを助けてもらえる温かな地域だったと思います。
はじめは、自分の牧場のミルクを使用したジェラートだけを販売していましたが、いろいろなつながりの中で、今では商品数も増えてきましたね。
(創業メンバー)
創業以来ずっと働いています。今は、製造と販売の管理を行っていますが、お客様には、おいしいと思っていただいているとは感じています。
店舗の店頭でお客様とお話しするときは楽しいです。
アイスクリームを食べてほっとする幸せな気持ちになってほしいと思います。特別な時だけでなく、普段の日常でも食べていただけるようになるといいです。ミルクとフランソワーズを一緒に食べるのがおすすめです!
生産と製造、2つの視点から未来を見る
―これからの道のり
商品自体を突き詰めるということへの興味が強まってきていますね。その上で、お客様には、特別感を感じてもらえるようにしていきたいと思っています。そのために、製造の専門家とともに製造メーカーとしての価値向上にも取り組んでいます。
今後は、素材だけでなく製造の専門性による特別感も演出したいと思っています。牧場という点では、生産者でもありますが、やはり、製造というところにこだわっていきたいです。
一方で、将来には、生産にも力を入れていきたいと考えています。素材の追求を目指し、無殺菌で販売できる「特別牛乳」という商品づくりにもチャレンジしてみたいですね。その中では、牧場・製造・ジェラートにおける循環型の事業にもつなげていけたらと思います。
もともと、生活の中で食べていただける商品づくりを目指してきたので、今でも、いい商品のある町場のアイスクリーム屋さんのような存在でありたいとは考えています。
これからは、商品はもちろんですが、スタッフみんなの人生にも寄り添える会社になっていければと思っています。