山口県の伝統工芸の作品を展示することで、受け継がれた伝統工芸世界を広く周知しようと萩市の山口県立美術館浦上記念館で第47回山口伝統工芸展が開催されました。
artrip山口で作品を販売している、赤間硯作硯家・日枝陽一さん、萩焼作家・岡田泰さん、波多野英生さんの3名も受賞されました。
今回は日枝さんと岡田さんにお話しをお伺いしました。
日本工芸会山口支部長賞赤間硯「円硯」日枝陽一
この度は、受賞させていただいて、また、高い評価を頂いて、これまでの苦労が報われたと感じています。
制作した作品はタイトルそのままのものが多いです。
今回は円硯(えんけん)という丸硯ですが、いかに文学的要素等を与えずに、皆さんが見た瞬間に「きれい」と言っていただければ嬉しく思います。
様々な角度から楽しむ
硯は、あまり側面などを見ないと思いますが、側面から見てみると底面からの立ち上げであったり、曲面等も楽しめると思います。
また、中心部分は「丘」と「海」が彫り込んでありますが、硯は彫り込めば彫り込むほど、不安定になります。
安定と不安定のギリギリのところで側面を削って立ち上げていくといったところも見ていただければ良いと思います。
この作品は、面と丘も広くし海を小さめに作ってあるので、墨の色合いを作りたい人、水墨画をされる方等、中間色をつくって利用される方はこれ一つで賄えるようにしています。
──硯や書の魅力を伝えること
硯を使ってくださる方を増やしていくことも必要だと思います。
硯で墨をすって使う魅力を伝えることで、書をたしなまれる方が増えていくと考えます。そうなれば硯も必要になり、さらに硯を作る数も増えれば、作り手も増やしていかないといけません。
引き続き、石をつかって「墨をする」ということが楽しいと思っていただけるような作品を作り続けなければならないと思っています。
現在、硯の魅力を伝えるために、実際に硯を使うイベント等を開催しています。
活動の中で、硯の使い手を増やしていきたいと考えていますので、今後は、イベントの回数を増やすとともに、県内だけでなく県外でも周知活動を行っていきたいですね。
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朝日新聞社賞萩焼「淡青釉鉢」岡田泰
この度は、身に余る光栄な賞を受賞させていただいて、大変、喜んでおりますし、これからも、この賞にみあう作品作りに励んでいきたいと感じています。
今回の作品は淡青釉鉢というものです。淡青釉というのは、私のオリジナルの釉薬です。
こちらの作品は、萩の目の前に広がる日本海をイメージしています。
澄んだ美しさとゆったりとした透明感のある海の雰囲気を作品に映し込みたいという思いを淡青釉で表現しています。
シャープな形で淡青釉の釉薬の美しい調和をめざし、自分の思いがうまく表現できる様に作品を製作してきました。
伝統の中で新たな一歩を
作品を見ていただいて色合いの美しさを感じていただければと思います。
この作品は、今まで見てこられた萩焼と少し雰囲気が違いますが、これも萩焼であり、新しい試みのひとつです。
この作品を通じて、これまで脈々と受け継がれ、先人から培ってきた伝統が、一歩一歩着実に進んでいることが伝わればと思います。
そして、今の新しいものも何十年後、何百年後も伝統として、ひとつの土台として組み込まれていくと思います。
この伝統工芸というものが、だんだんと進んでいっているものなのだということを感じていただけると嬉しいです。
──萩焼を世界へ
今回の受賞を受けて、自分が進んでいる方向性を後押ししていただいたのかと思います。
私は、萩の自然や美しさに感銘し、作品に昇華していくというものづくりをしているので、これからも萩の自然であったり、培ってきた風土に感動しながら、作品作りに励んでいきたいです。
萩焼は、四百年以上続く工芸品です。
使ってもらうと手にもなじみますし、温かみもあります。
お茶の世界では、道具としても認知度が高いと思いますし、重宝されています。
この萩焼をもっともっと多くの人に、日本だけでなく世界中の人に知っていただきたいと思います。
そして、日本の陶芸といえば萩焼といわれるようになることを目指して、今後も萩焼づくりに邁進していきたいです。
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yab山口朝日放送賞萩焼「緋色鉄釉鉢」波多野英生
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